きーすのマイル獲得日誌

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【戦後は終わっていない】初国産ジェット旅客機MRJ ANA塗装の機体、パリエアショーで展示。

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パリで開催されている航空ショーにおいて、ANA塗装のMRJが展示されました。MRJ三菱航空機が主導して開発を進めている初国産ジェット旅客機で、ANAMRJのローンチカスタマー(開発を後ろ盾し、規模のある発注を行った会社)です。日本の航空機産業の隅っこから眺めている者として雑感を落書きします。

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日本航空機産業の戦後は終わっていない。

日本は敗戦後7年間、GHQから航空機の開発生産を禁じられました。その結果、日本は航空機のノウハウを失い、世界の航空機産業のメジャープレイヤーから姿を消すことになります。工業立国である日本が未だに飛行機分野で遅れをとるのは、この7年間のブランクが埋めがたいものだったのでしょう。

開発の禁止が解かれた後、初の国産プロペラ旅客機YS- 11が開発されましたが、商業的には失敗します。官民合同プロジェクトだからでしょうか、ビジネス的な視点が掛けていたため、赤字で終了という結果に終わります。

しかし、YS-11の開発がなければ、ブランクは大きくなり、私たちが国産旅客ジェット機で空を飛ぶという浪漫を見ることは決してなかったでしょう。YS-11の開発生産に携わられた先輩方に感謝です。MRJYS-11から受け取ったバトンを是非初納入へ繋げて欲しいものです。

日本の航空機開発の水準は? 

実は戦後、国産飛行機は、多く開発されてきています。ただし、それは自衛隊向けの航空機に限った話です。ではなぜ、国産旅客機が開発されないのかと言うと、旅客機開発のノウハウがない事、国策の自衛隊向け航空機と違い莫大な経営体力が要求されるといった事は無論ですが、一番のネックと言うのは他国で運用されるとうい事に尽きると思います。

他国で運用すると言うことは、この航空機はその国で飛んでも良いというお墨付きを、その国で得る必要があります(必要ない国も一部あるかもしれませんが)。このお墨付きは型式証明と呼ばれるものです。この証明を得ることが日本の航空機開発をムリゲーにしているのです。

ムリゲー型式認証の壁 

型式証明は運用する国すべてで取得する必要があるわけではなく、事実上、アメリカの連邦航空局(FAA : Federal Aviation Administration)と、ヨーロッパの欧州航空安全機関(EASA : European Aviation Safety Agency)から取得できれば一応の開発完了とされます。

もちろん日本での型式証明は必要ですが、アメリカの連邦航空局の審査に沿った内容になっています。これは日本(国土交通省)に型式証明の審査のノウハウがないためと言えます。審査当局にとっても戦後は続いているようなものです。

さて、この型式証明を得るには航空機の安全を証明する莫大な審査をパスする必要があるのですが、先行するボーイングエアバスといった航空機会社は過去からノウハウがあり、どの程度の作業が必要か、といった塩梅を理解しています。

一方、今回開発を主導する三菱航空機にとってはわからないことだらけ、トライ&エラーの繰り返し、といった状況だと思います。言い換えれば、欧米メーカは攻略本片手に2週目3週目のやりこみに入っているのに対し、日本企業は説明書を読むところから始めている様なものです。

この業界では、日本は欧米の敷いたルールの上で戦うことになるのです。

もはや戦後ではないと言える日 

現在のMRJの納入予定は2020年と発表されています。これは当初計画から7年遅れていることになります。これは型式証明の取得が難航しているためと言われています。個人的にはさらに遅れるリスクはかなり高いと感じています。

遅延により、開発費は膨らみ、エアラインからの受注もキャンセルを受けるリスクも増大していると思います。将来運用のフェーズに入っても開発費を回収できるのかは不透明ではないかと思います。

しかし、日本の航空機産業が自動車産業と肩を並べる日が来るよう、ぜひ三菱航空機はじめ関わる日本企業はこのムリゲーをクリアし、未来へバトンを繋いで欲しいものです。

その中で、我々陸ANAマイラーはいつか、貯めたマイルでMRJで飛び回る日を夢見て、応援していきましょう。